AIを入れたけど使い道がない人へ。まず任せたい3つの小さな作業
AIを何に使うか迷ったら、手元のメモや予定、資料を整理するところから試してみてください。自分が内容を知っているものなら、返ってきた結果が合っているかも確かめられます。
前回のコラムでは、いつもの作業を手順に残し、スキルにまとめる方法を紹介しました。今回は、その手順を作る前の「最初に何を頼むか」を考えてみます。
僕なら、いきなり大きな仕事を丸ごと任せるより、結果を自分で確認できる小さな作業から始めます。ここでは、メモの整理、予定の整理、資料の比較という三つを取り上げます。
以下の指示文と結果は、試し方を説明するための例です。実際に使って得られた検証結果ではありません。
01ばらばらのメモを、話題ごとにまとめる
最初の作業には、思いついたことを書き留めたメモの整理が向いていると思います。
たとえば、ブログのネタ、買い物、調べたいことが同じメモに混ざっている場合です。一つずつ読み直して分類する作業を、AIに頼んでみます。
説明用に、こんなメモを用意しました。
・AIの記事で、専門用語の説明が長くなりがち ・週末に洗剤を買う ・ブログの見出しを先に考える方法を書きたい ・画像のサイズを調べる ・次の記事には文章の修正例を入れたい
このメモに、次の指示を添えます。
以下のメモを、話題ごとに整理してください。 ・元の内容を省いたり、意味を変えたりしないでください。 ・分類が分からないものは「要確認」に残してください。 ・メモにない予定や作業を追加しないでください。 ・整理後も、元の各項目と対応が分かるようにしてください。 [ここにメモを貼り付ける]
結果として受け取りたいのは、たとえば次のような整理です。
| 分類 | メモ |
|---|---|
| ブログの書き方 | 専門用語の説明が長くなりがち。次の記事には文章の修正例を入れたい。 |
| 記事のテーマ | ブログの見出しを先に考える方法を書きたい。 |
| 買い物 | 週末に洗剤を買う。 |
| 要確認 | 画像のサイズを調べる。 |
「画像のサイズ」は、ブログ用なのか、別の用途なのか分かりません。ここをAIが決めつけず、確認事項として残しているかを見ます。
分類名がきれいに付いていても、元のメモが一つ抜けていたら修正が必要です。整理後の項目を、元のメモと照らし合わせてください。
02やることと使える時間から、予定案を作る
次に試したいのは、一日の予定案です。
AIに渡すのは、やることの一覧だけではありません。使える時間、動かせない予定、終わらせたいことも添えます。
たとえば、次の条件を渡したとします。
明日は午前10時から12時まで作業できます。 やりたいこと: ・ブログの構成を考える。目安は45分。 ・メールを確認する。目安は15分。 ・資料を読む。目安は30分。 条件: ・ブログの構成を優先したい。 ・途中で10分休憩したい。 ・残りの時間は予備として空けておきたい。
ここに、予定を組むための指示を加えます。
この条件で、明日の予定案を作ってください。 ・作業時間の合計が、使える時間を超えないようにしてください。 ・指定した優先順位を守ってください。 ・予定が収まらない場合は、勝手に削らず、そのことを説明してください。 ・作業時間は私が示した目安を使ってください。
受け取りたい予定案は、次のようなものです。
| 時間 | 内容 |
|---|---|
| 10:00〜10:45 | ブログの構成を考える。 |
| 10:45〜10:55 | 休憩する。 |
| 10:55〜11:10 | メールを確認する。 |
| 11:10〜11:40 | 資料を読む。 |
| 11:40〜12:00 | 予備の時間として空けておく。 |
この例では、作業が90分、休憩が10分、予備が20分で、合計120分です。
確認するのは、時間の重なりや計算だけではありません。その順番で自分が動けそうかも考えます。資料を読んでからでないと構成を考えられないなら、その関係を伝えて組み直してもらいます。
予定案を作ることと、カレンダーへ登録することは別の作業です。まずは案を受け取り、自分で確認するところまで試してみてください。
03二つの資料から、違う点を抜き出す
資料の比較も、小さく始められる作業です。
たとえば、更新前と更新後の案内文です。どこが変わったかを調べるとき、AIに両方を渡して、違いを表にしてもらいます。
説明用に、次の二つの案内を使います。
資料A: 勉強会は土曜日の10時から開催します。 参加費は無料です。申し込みは木曜日までです。 資料B: 勉強会は土曜日の13時から開催します。 参加費は無料です。申し込みは金曜日までです。
指示は、次のように書けます。
資料Aと資料Bを比較し、変更された点を表にしてください。 ・変更前と変更後の記述を並べてください。 ・変更されていない点も、別に示してください。 ・資料に書かれていない変更理由は推測しないでください。 ・記述が曖昧な箇所は、確認事項として残してください。
受け取りたい結果は、次のような表です。
| 項目 | 資料A | 資料B |
|---|---|---|
| 開始時刻 | 土曜日の10時 | 土曜日の13時 |
| 申し込み期限 | 木曜日まで | 金曜日まで |
| 参加費 | 無料 | 無料。変更なし。 |
開始時刻と申し込み期限が変わり、参加費は変わっていません。変更理由は、どちらの資料にも書かれていません。
AIが「参加者の都合に合わせて午後に変更された」と説明したら、資料にない情報を補っています。比較表が整っていても、根拠のない説明が混ざっていないか確認してください。
長い資料で使う場合も、大事な数字や条件は元の文章に戻って確かめます。表に載っていない部分を、すべて変更なしと判断しないことも必要です。
04最初は、自分が答えを確かめられる材料を使う
三つの作業に共通するのは、自分が元の内容を確認できることです。
メモなら、項目が抜けていないかを見る。予定なら、時間と順番が合っているかを見る。資料なら、変更箇所を原文と照らし合わせる。結果を読むときの確認点が決まっています。
初めて試すなら、短いメモや、説明用に作った資料で十分です。仕事の資料を使う場合は、勤務先の利用ルールと、入力してよい情報の範囲を先に確認してください。患者情報や顧客情報などを、そのまま練習用の材料に使わないようにします。
頼む範囲も、「整理した案を出して」と指定できます。ファイルの削除、予定の登録、他の人への送信まで、一度に任せる必要はありません。
05次も頼みたい作業だけ、手順に残す
一度試したら、「自分でやるより楽だったか」「確認にどれくらい手間がかかったか」を振り返ります。
分類を直す手間が多かったなら、使いたい分類名を先に渡す。予定の順番が合わなかったなら、作業同士の関係を伝える。比較で条件が抜けたなら、確認してほしい項目を指定する。結果に合わせて、次の指示を直します。
そのうえで「次も頼みたい」と思った作業だけ、手順に残しておけばよいと思います。試したものを全部、スキルにする必要はありません。
僕なら、まずは短いメモの整理から始めます。元の内容を手元に置き、整理された結果を見比べる。そこで自分が確認しやすい頼み方を見つけてから、次の作業へ広げていきます。