AIに毎回同じ説明をしていませんか? いつもの作業を手順に残す方法
AIに繰り返し頼む作業は、順番と完成の条件をまとめておくと、次の依頼に使えます。何度か試して進め方が固まったら、対応するAIツールで「スキル」にまとめる方法もあります。
前回のコラムでは、自分の「書き方ルール」を作る方法を紹介しました。今回は、文章の書き方から範囲を広げて、作業全体の進め方を考えてみます。
たとえば、ブログの記事作りです。テーマを探し、構成を考え、下書きを書き、内容を確認する。この流れを毎回説明しているなら、一度まとめておく価値があります。
僕なら、まず一つの作業に絞ります。何度も頼んでいる小さな作業から始める方が、手順の不足を見つけやすいと考えています。
01「いつもの作業」を一つ選ぶ
手順にする材料は、すでに繰り返している作業です。
「この説明、前にもしたな」と感じた依頼を思い出してみてください。記事の構成を考える。資料を読んで要点を整理する。下書きの数字と出典を確認する。過去のやり取りを見返せば、何を頼み、どこで追加の指示を出したかを確認できます。
最初の対象は、小さくて構いません。
「ブログ運営を全部任せる」では、どこで指示が足りなかったのか分かりにくくなります。「テーマから見出しを作る」くらいなら、出てきた結果を自分でも確認しやすいでしょう。
02順番だけでなく、完成の条件を書く
作業の名前を並べるだけでは、受け取りたい結果まで伝わらないことがあります。各工程で何を決め、何を残してほしいかも書きます。
たとえば「記事の構成を考えて」と頼む場合です。
見出しが出れば完成なのか。各章に書く内容まで必要なのか。追加の調査が必要な箇所も示してほしいのか。ここを決めておくと、結果を確認するときの基準になります。
記事作りなら、次のように整理できます。
| 工程 | この段階で決めること・残すもの |
|---|---|
| テーマ選び | 誰の、どんな疑問に答える記事かを決める。 |
| 構成作り | 見出しと各章の要点をまとめ、調査が必要な箇所を示す。 |
| 下書き | 構成に沿って書き、未確認の情報を区別する。 |
| 内容確認 | 数字・日付・条件・出典を見直し、確認できない点を残す。 |
| 公開判断 | 内容と表示を確認し、公開してよいかを人が決める。 |
これは手順の一例です。自分の作業に合わせて、不要な工程は外し、必要な確認を加えてください。
03自分で判断する場面も残しておく
手順には、AIにしてほしいことと、自分が判断することを分けて書きます。
テーマの候補を出すことは任せても、どれを書くかは自分で選ぶ。下書きを作ってもらっても、自分の意見として載せてよいかは自分で読む。こうした区切りです。
筆者の体験談も、AIが埋めてよい部分ではありません。記事に必要なら、実際に何をしたか、どう感じたかを自分から渡します。
情報が足りないときの扱いは、次のように指定できます。
足りない情報は推測で埋めず、確認が必要な箇所として残してください。筆者の体験や感想は、提供した内容だけを使ってください。
公開や送信まで含む作業では、その前に確認する段階を入れます。下書きが完成したことと、公開してよいことは分けて考えたいところです。
04まずは指示文を貼り付けて試す
最初から特別な仕組みを作る必要はありません。手順を手元のメモに残し、次に頼むときに貼り付ける方法から試せます。
記事作りなら、たとえば次のような指示です。
ブログ記事を作るときは、次の手順で進めてください。 1. 想定読者と、記事で答える疑問を整理してください。 結論を左右する情報が不足していれば、先に質問してください。 2. 見出しと各章の要点を作ってください。 追加の調査が必要な箇所も示してください。 この段階で一度止めて、私の確認を待ってください。 3. 構成を確認したあと、下書きを作ってください。 書き方は、別に渡す文章ルールに従ってください。 4. 数字、日付、条件、出典を確認してください。 確認できない情報は、確認済みとして扱わないでください。 筆者の体験や感想を創作しないでください。 5. 下書きと、残っている確認事項を提示してください。 私の明示的な指示なしに公開しないでください。
「今回は構成まで」「今回は下書きから」と、その日の依頼を添えて使います。毎回すべての工程を通す必要はありません。
05足りなかった指示を、手順に戻す
手順を使ったら、欲しい結果が出たか、途中で判断しにくい場面がなかったかを確認します。
見出しは出たけれど内容が重なっていたなら、「各章で同じ説明を繰り返さない」と追記できます。確認が必要な情報が本文に混ざったなら、「未確認の箇所は末尾にも一覧で示す」と直せます。
その場で追加の指示を出して終わりにすると、次も同じ説明が必要になります。繰り返し起きる問題は、保存した手順の方へ戻しておきましょう。
ただし、一つの記事だけに必要な条件まで入れると、別の記事で使いにくくなります。「今回は初心者向け」「今回は比較表が必要」といった条件は、その日の依頼に添えます。
共通の手順には、次も使いたい進め方を残してください。
06進め方が固まったら「スキル」にまとめる
同じ手順を何度か使い、直す箇所が落ち着いてきたら、スキルとして保存する方法があります。
スキルは、特定の作業で使う指示や参考資料などをまとめ、AIが必要な場面で読み込むためのものです。たとえばClaudeでは、作業手順に加えて、見本や補助用のプログラムを含めることもできます。仕組みは公式のスキル解説で確認できます。
記事作りのスキルなら、次の内容をまとめます。
- どんな依頼で使うかを説明する。
- 作業の順番と、各工程の完成条件を書く。
- 途中で人の確認を待つ場面を決める。
- 書き方ルールや文章の見本を参照できるようにする。
- 情報が足りない場合の扱いを指定する。
毎回長い指示を貼り付ける代わりに、保存した手順を参照してもらう形です。使える機能や呼び出し方は、AIツールによって異なります。
対応するツールでは、AIに手順の整理を頼むこともできます。たとえば、こんな依頼です。
これまで使ってきた記事作成の手順を、繰り返し使えるスキルとして整理したいです。 まず、次の内容をまとめてください。 ・このスキルを使う場面 ・作業の順番と、各工程の完成条件 ・私の確認を待つ場面 ・参照する書き方ルールと文章の見本 ・情報が足りない場合の扱い 今回だけの条件は、共通の手順から外してください。 実際の作成・登録方法は、使っているツールに合わせて示してください。
僕なら、最初からスキルを作り込むより、指示文を貼り付けて試します。「次もこの進め方で頼みたい」と思えた段階でまとめる方が、何を残すべきか判断しやすいからです。
07スキルにしても、確認はなくならない
スキルは手順を再利用する仕組みです。保存しただけで、AIが毎回正しく実行する保証にはなりません。
記事作りなら、数字が正しいか、出典が主張を裏付けているか、文章を短くしたときに条件が落ちていないかを確認します。スキルを使った結果にも、自分の目を通してください。
期待と違う進め方になったら、記事だけでなくスキルも見直します。確認前に下書きまで進んでしまったなら、止まる場面を明確にする。不要な工程が増えたなら、手順を削る。直したあとは、次の作業で意図どおりに使われるかを確かめます。
僕は、手順やスキルを残す目的を「確認しなくてよくすること」には置きたくありません。何を任せ、どこを自分で見るかを、次の作業でも分かるようにするために使いたいと思います。
まずは最近の依頼を一つ見返して、何度も伝えている指示を抜き出してみてください。作業の順番、受け取りたい結果、自分が確認する場面を短くまとめる。次の依頼で試して、足りなかった部分を直す。その手順が使いやすくなったら、スキルにまとめてみましょう。